ひとりドワネル祭

先月から少しずつフランソワ・トリュフォーの
"ドワネルもの"5作品を久しぶりに観返しました。
フランソワ・トリュフォーはボクが一番好きな映画作家で、
自分の中でおそらくこの人以上に好きな監督は
現れないんじゃないかな、と思ってます。

52歳という若さで亡くなったことを差し置いても、
この人ほど'巨匠感'のない人はいないんじゃないかと思います。
それほど作品ひとつひとつが遊び心に溢れていて、
シーンのひとつひとつが愛に溢れているのです。

何年か前にタランティーノが
「トリュフォーの映画はヤワで好きじゃない」
とかインタビューで言っていたのを
雑誌か何かで見たことがありましたが、
タランティーノも表現方法や遊び心は
トリュフォーの足跡をなぞるかのような
フォロワーな気がします。

トリュフォー自身が影響を受けた
過去の巨匠たちのシーンをモチーフとしたニクい引用や、
各作品に執拗に出てくるエッフェル塔や
「813」という数字など、どこかに何かが隠れていて
ボクのツボをことごとく突かれてどっぷり
ハマったのが十数年前。
今でも全く変わることなく、トリュフォーが一番です。

そんなトリュフォーの作品の中で"ドワネルもの"という
あしかけ20年に及んだシリーズがあるのですが、
トリュフォーの自伝的作品で、主演は全て
ジャン・ピエール・レオーに演じさせています。

その1。
『大人は判ってくれない』(1959)
大人は判ってくれない 1

1959年の長編デビュー作にして、代表作のひとつ。
悪ガキ少年期のお話です。
ラストの↓このシーンが有名ですが、
大人は判ってくれない 2

ボクはこのシーンではなくて、
主人公のドワネルが少年院に入れられて
精神科の女医にいろいろと質問をされるのですが、
そこでジャン・ピエール・レオーが何とも言えない
表情を見せるワンシーンがたまりません。

その2。
『アントワーヌとコレット』(1962)
アントワーヌとコレット

17歳になったアントワーヌ・ドワネルの失恋のお話。
短編作品なのですが、ワガママだけど何故か憎めない
ダメ男、ドワネルはこの辺りから開花されています。

その3。
『夜霧の恋人たち』(1968)
夜霧の恋人たち

『アントワーヌとコレット』から6年後のドワネル。
兵役不適格者として軍隊から逃れ社会復帰するのですが、
働きだした靴屋の社長夫人に恋を
しはじめてからがおもしろいです。

あとAntoine Duhamelの音楽も良いです。
レコード欲しいなぁ。

その4。
『家庭』(1970)
家庭 1

『夜霧の恋人たち』で最終的に結ばれた恋人と
結婚したアントワーヌ・ドワネル。
子供が産まれるも大人になれない、
相変わらずの愛すべきダメ男っぷり。

『大人は判ってくれない』は別格ですが、
ドワネルものの中ではこの作品が好きですね。
爆笑というよりは苦笑って感じの笑いがあります。

妻とケンカ中に、松本弘子さん演じる
パリ在住の日本女性が登場するんですが、
フランス人からしてみたらエキゾチックな
この女性の描き方が絶妙で笑えます。
家庭 2

日本女性がドワネルを家で食事をする為に
同居人の女性を追い出すシーンで、
日本人同士だから当然日本語での会話なんですが、
この会話がウケるし、浮気をしたドワネルが
自宅に帰ると、妻が日本女性に化けて
迎えるのとか滑稽過ぎて苦笑が止まりません。
家庭 3

あとは駅のホームで突然ジャック・タチの
『ぼくの伯父さん』のユロ氏が登場してみたり、
日本女性に飽きたドワネルが、食事中に
何度も妻に電話をかけに行って、
日本女性がシビれを切らしてレストランから
帰るシーンでは、短冊に「勝手にしやがれ」と
日本人じゃないと分からないギャグの様なシーンもあったり...。
(『勝手にしやがれ』の原題は『A Bout de Souffle (息を切らして)』なので。)

シーンのひとつひとつがいちいちに愛に溢れています。

その5。
『逃げ去る恋』(1979)
逃げ去る恋

『大人は判ってくれない』から20年後のドワネル。
この作品は過去の4作品の回想を交えて描かれていきます。
何がスゴいって、普通このテの回想となると
主人公に似た子役を起用したりすると思うのですが
20年間ドワネルはジャン・ピエール・レオーひとりが
演じてきたので、その必要がないのです。

ただ作品としては回想シーンが時間の割に
多きを占めているような印象でイマイチかもしれませんね。

なぜボクがこのシリーズを好きなのか。
それは自分とドワネルが重なる部分があるからでしょう...フフフ。

そんな感じでサッカー観ながら久しぶりに
がっつりブログを描いてみました。
ちなみにトリュフォーは一番好きな映画監督ですが、
一番好きな映画はトリュフォーの作品ではないです。
それはまたいずれ。
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テーマ : フランス映画 - ジャンル : 映画

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